前髪の縮毛矯正で自然なふんわり前髪・流し前髪は作れる?失敗しないコツ
キャリア21年の
美容師があなたの
髪の疑問や悩みに
本音で答えます。
宇野 和弘|Kazuhiro Uno
回答者プロフィール:
表参道、渋谷の有名美容室4店舗を経験。キャリア21年。毛髪、薬剤知識が豊富。得意分野はカラーリングと縮毛矯正。丁寧なカウンセリングをベースにしたカットでスタイルを作り、併せて最適なヘアケアを提案。特に30〜40代の美意識の高い大人の女性から評価を頂いています。
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この記事の目次
前髪の縮毛矯正はこんな人におすすめ
1.前髪にだけクセやうねりが出ている人
長い髪に定期的に縮毛矯正をかけ続けている女性の場合、長さのあるサイドや後ろ側と比較して、髪の短い前髪部分はどうしても早い周期でクセやうねりが目立ちやすくなります。
実際、ミディアム以上のロングヘアだと、髪が長いサイドや後ろ側は髪自体の重みでクセやうねりが落ち着きやすく、縮毛矯正後、根元部分が6センチ程度伸びてくるまでは、約6ヶ月のあいだ髪がまとまりやすい状態を維持することができます。
一方で、サイドや後ろ側と比較して髪が短い前髪部分は、髪自体に重みがないため、早い周期でクセやうねりが目立ちやすくなる。
縮毛矯正後、1.5〜2.5ヶ月が経過して、根元部分が1.5〜2.5センチ程度伸びてくると、クセやうねりが気になるようになります。
この前髪とそれ以外の箇所で生まれるクセやうねりの差(ギャップ)をケアする際に、ピンポイントでクセの出やすい前髪だけ部分縮毛矯正することは非常に効果的です。
2.クセやうねりが出ない前髪を一日中キープしたい人
くせ毛の場合、毎朝のスタイリング時にヘアアイロンで前髪をまっすぐにセットしても、会社や学校に行く途中で外気に触れたり、一日を過ごす中で汗をかくことで、前髪のクセやうねりが戻ってしまうことがある。
特に湿度が高い雨の日や梅雨時期などは、前髪をまっすぐのまま一日中キープするのは、かなり難しくなります。
こういった悩みを抱える人も、ピンポイントに前髪だけ部分縮毛矯正することで、クセやうねりが出ない前髪を一日中キープすることができるようになります。
3.縮毛矯正による髪のダメージや負担をなるべく抑えたい人
縮毛矯正は美容院で行うヘアメニューの中でも、髪への負担やダメージが最も大きい施術です。
そのため、過去にカラーや縮毛矯正を繰り返し、すでに髪にダメージが蓄積している場合、そこからさらにダメージの大きい縮毛矯正を重ねてかけていくことには、どうしても抵抗感が出てしまいます。
「……ただ、そうはいってもクセやうねりはどうにかしたいし、見た目の印象を大きく左右する前髪・フロント部分だけは、どうにかクセやうねりを抑えて扱いやすくしたい」
こういった悩みを抱える人も、髪全体ではなく前髪だけに縮毛矯正をかけることで、髪へのダメージや負担を抑えつつ、セットしやすい状態を作り出すことができます。
前髪はストレートパーマではなく縮毛矯正を
前髪は縮毛矯正でクセやうねりを伸ばす
クセやうねりを伸ばす方法には縮毛矯正とストレートパーマの2つの方法がありますが、前髪の場合、基本的には縮毛矯正が正解で、ストレートパーマを用いることは、ほとんどありません。
実際、薬剤のみの力でクセやうねりを伸ばすストレートパーマよりも、薬剤+熱の力を使う縮毛矯正のほうがキレイに伸びやすく、前髪のクセやうねり対策を相談された美容師の大半が縮毛矯正を選びます。
あえて弱めにかけたい場合はストレートパーマを
なお、一部例外として、もともとのクセやうねりがそれほど強くなく、前髪のクセやうねりを完全に取らずに、あえて弱めにかけたい人。
今より多少、クセやうねりを抑える程度で、よりナチュラルに仕上げたい人の場合、縮毛矯正ではなくストレートパーマを用いることがあります。
縮毛矯正でも、ふんわり前髪は作れる
縮毛矯正+毎朝のスタイリングで作る
前髪に縮毛矯正をかけた場合でも、ふんわり前髪を作ることはできます。
ただし、薬剤+熱の力でしっかりとクセやうねりを伸ばし、髪をまっすぐにすることが本来、縮毛矯正に求められること。
そのため縮毛矯正単体ではふんわりとした前髪を作ることはできません。
縮毛矯正でしっかりとクセやうねりを伸ばしてベースを作りつつ、プラスアルファで毎朝のスタイリング時にヘアアイロンやカーラー、コテを用いて前髪をふんわりさせるやり方がおすすめです。
縮毛矯正はクセを伸ばすものだと割り切ること
なお、キャリアのある美容師であれば、薬剤設定やアイロン操作で、なるべく髪に丸みがつくように心がけて施術をしてくれますし
美容院によっては、縮毛矯正の薬剤をつける際に同じ前髪の中で薬剤を塗り分けたり、フィルムで挟みながら丸めるなどで、縮毛矯正単体で前髪に丸みを作ろうとするケースもあります。
ただ、それでも縮毛矯正の施術単体では、丸みを作ったりふんわりさせることにも限界があるため、縮毛矯正は、あくまでクセやうねりをまっすぐ伸ばして扱いやすい状態を作るものだと割り切ること。
ふんわりとしたアレンジは、縮毛矯正に加えて毎朝のスタイリングでヘアアイロンやカーラー、コテを用いて作る方法が一番だとご理解下さい。
縮毛矯正でも前髪を流すことができます
縮毛矯正+毎朝のスタイリングで作る
前髪に縮毛矯正をかけつつ、流し前髪を作ることも可能です。
ただし、やはり薬剤+熱の力でしっかりとクセやうねりを伸ばし、髪をまっすぐにすることが本来、縮毛矯正に求められること。
縮毛矯正単体では前髪を左右に流すことはできません。
そのため、通常と同じ工程を踏みつつ、縮毛矯正でしっかりとクセやうねりを伸ばしてベースを作る。
そのうえで毎朝のスタイリング時にヘアアイロンやカーラー、コテを用いて前髪を流すやり方がおすすめです。
おでこの形や広さで前髪が流せないこともある
なお、縮毛矯正の有無に関わらず、前髪を流すことができるかどうかは、おでこの形や広さにも左右されます。
その構造的に髪の生え際から眉毛までの距離が長く、おでこが広い方は前髪が流しやすく、逆に髪の生え際から眉毛までの距離が短く、おでこが狭い方は前髪が流しにくくなります。
また、富士額(ふじびたい)の方など、髪の毛が太く硬く、ハリがある場合、そもそも前髪が流しづらくなるため注意が必要です。
流し前髪は長さ5〜6センチは必要
加えて、前髪が短すぎる場合も、ヘアアイロンが使えず、うまく流し前髪を作ることができないため注意が必要です。
実際、縮毛矯正後に流し前髪を作るために用いるヘアアイロンは、そのプレートの幅が2.5〜3センチ程度。
このヘアアイロンで前髪をはさみつつスルーさせながら流していくことを考えると、やはり最低でも前髪の長さは5〜6センチは欲しいところです。
前髪を流しやすいようにカットしてもらう
また、前髪を流す場合にはカットも重要です。
実際、前髪を流す場合は、流したい方向に対して山なりに(斜め)にカットするなど、髪をまっすぐにおろすパッツン前髪を作る場合と比較してカットライン(ハサミの切り口)が異なります。
また、毛量を軽くしたほうが前髪が流れやすい方もいれば、逆に重くしたほうが流れやすい方もいるため、お客様の髪質に合わせた毛量調整も重要なポイントになります。
カットのベース次第で、流し前髪の作りやすさが変わるため、美容師さんにその旨をしっかりと伝え、より前髪が流しやすいようにカットしてもらうことも重要です。
前髪の縮毛矯正、値段と施術時間。153店舗で調査
基本的なポイントを理解したうえで気になるのが値段や料金です。
ちなみに表参道エリアの美容院153店舗を対象に調査をしてみると、縮毛矯正の値段や料金は……
縮毛矯正のみ | 縮毛矯正+カット |
15,673円 | 22,321円 |
前髪・部分縮毛 | |
6,299円 | |
※価格はすべて税込み価格です 調査対象:表参道エリアで大手ポータルサイトへ広告出稿をしている美容院(153店) 調査実施時期:2017年2月20日(月)10:00〜2月21日 14:00 | |
……これくらいが平均値となります。
髪全体に対して縮毛矯正を行う場合と比較すると、前髪・部分縮毛矯正は、2〜3分の1程度の価格で施術を行うことができます。
なお、
縮毛矯正(全体) | 前髪・部分縮毛 |
150分 (2時間半) | 120分 (2時間) |
……といった具合に施術時間は、髪全体に縮毛矯正をかけた場合と比較して、前髪・部分縮毛矯正の場合は30分程度時間が短くなります。
なお、上記の価格は表参道エリアの平均相場になりますが、立地差や地域差を抜きにしても、この金額から極端に安い場合は、それなりにリスクも高くなるため、注意が必要です。
実際、縮毛矯正は「安かろう悪かろう」の典型。高ければ良いとは限りませんが、安すぎる縮毛矯正はNGです。
あまりに価格帯が安い場合、スピード重視、回転率重視で、本来デリケートに行なうべき施術に対して、あまり時間をかけてもらえない。
キレイに伸ばしてもらえず、ゴワつきが残ってしまう、といったリスクもあります。
価格帯だけで判断するのではなく、ホームページを見たり、直接問い合わせをするなどして、自分の理想に近づけてくれる美容師やサロンを探すことが重要です。
前髪の縮毛矯正、期間や頻度は1.5〜2.5ヶ月ごと
すでにお伝えしているとおり、サイドや後ろ側と比較して髪が短い前髪部分は、髪自体に重みがないため、早い周期でクセやうねりが目立ちやすくなる。その結果、縮毛矯正の頻度も多くなります。
実際、髪の毛は1ヶ月で約1センチ程度伸びるため、縮毛矯正後1.5〜2.5ヶ月が経過して、根元部分が1.5〜2.5センチ程度伸びてくると、クセやうねりが気になるようになります。
そのため、クセの強さにもよりますが1.5〜2.5ヶ月に1回程度、定期的に縮毛矯正をかけて頂くと、前髪を真っ直ぐな状態を保つことができます。
施術の目安
施術の目安
なお、一度、縮毛矯正をかけた後は、伸びた根元部分にだけリタッチという形で定期的に縮毛矯正をかけることで、髪を真っすぐな状態に保つことができます。
また、ミディアム以上のロングヘアの方など、前髪とそれ以外の箇所にクセやうねりの差(ギャップ)が出やすい方の場合は
1回目:髪全体に縮毛矯正
↓
2回目:前髪だけリタッチで縮毛矯正
↓
3回目:髪全体にリタッチで縮毛矯正
といった具合に、部分縮毛矯正やリタッチでの縮毛矯正をうまく使い分けながら縮毛矯正をかけていただくやり方がおすすめです。
前髪の縮毛矯正、よくある失敗とその予防方法
一番多い失敗は、強くかかりすぎてしまうこと
他店で前髪への縮毛矯正を行い、失敗後に、当店へご来店いただくお客様がいますが、
その中でも一番多い失敗は、縮毛矯正の薬剤設定が強すぎることや、アイロンでの熱処理を過度に行ってしまうことで、縮毛矯正が強くかかりすぎてしまうパターンです。
強くかかりすぎて前髪が浮く
もともとハリのあるくせ毛の方が縮毛矯正を強くかけすぎてしまうと、前髪は生え癖どおりにスコーンと立ち上がってしまう。
それが結果として、縮毛矯正後に前髪が浮いてしまう状態を招いてしまいます。
すでに縮毛矯正を強めに反応させた髪に対して、再度、薬剤や熱の力でどうにかしようとするアプローチはリスクが高くなるため、一度、この状態になってしまったら、毎朝のスタイリングやブローでごまかすしかなくなります。
強くかかりすぎて前髪がペタっとなる
反対にもともとの髪が柔らかく、ハリが弱い方が縮毛矯正を強くかけすぎてしまうと、前髪はペタッとなりやすくなってしまいます。
この場合も、すでに縮毛矯正を強めに反応させた髪に対して、再度、薬剤や熱の力でどうにかしようとするアプローチはリスクが高くなるため、一度、この状態になってしまったら、毎朝のスタイリングやブローでごまかすことが一番の対処法になります。
なお、前髪の縮毛矯正で失敗しないためにも、よくある失敗とその原因、予防方法、失敗時の対策についてにも理解しておくことが重要です。
下記の基礎知識ページで失敗しないコツについて詳しく紹介しているので、併せて参考にしてみて下さい。
- 参考知らなきゃマズい。縮毛矯正とストレートパーマの基礎と絶対にダメな事|縮毛矯正やストパーで失敗しないコツと対策
- 参考知らなきゃマズい。縮毛矯正で失敗後の対策や対処、修復・修正・改善法
また、すでに縮毛矯正で失敗してしまった方は、下記のページで失敗後の対策について詳しく紹介しているので、併せて参考にしてみて下さい。
また、一言に「前髪の縮毛矯正」と言っても、本当に前髪だけに縮毛矯正をかける場合もあれば、前髪よりももう少し広げてこめかみ部分にまで縮毛矯正をかける場合、また、もみあげのあたりまで含めて髪のフロント部分一周に対して縮毛矯正をかける場合もあります。
もちろん、どのアプローチをとるかによって、デザインも大きく異なりますし、扱いやすさも変わってきます。
スマホの写真や雑誌の切り抜きなどで、複数のなりたい画像を予め用意しつつ、担当の美容師さんとイメージを共有・すり合わせして前髪に縮毛矯正をかけてもらうことが失敗しないコツです。
前髪の縮毛矯正は自宅・セルフで市販品を使ってできる?
縮毛矯正には自宅やセルフで行えるものもありますが、プロの美容師としての本音を言ってしまえば、
市販の薬剤を購入して、セルフで施術を行うことは基本的にNG。
全くオススメできないものだとご理解下さい。
なぜ、おすすめできないのか?その理由や市販の縮毛矯正のリスク、デメリットについて下記のページで詳しく紹介しています。参考にしてみて下さい。
なお、下記の「知らなきゃマズい。縮毛矯正とストレートパーマの基礎と絶対にダメな事」という記事の中で、
縮毛矯正で失敗しないコツや狙ったストレートヘアを作っていく方法、長持ちさせるポイント等について詳しく紹介しています。ぜひ参考にしてみて下さい。
「知らなきゃマズい。縮毛矯正とストレートパーマの基礎と絶対にダメな事」
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